取引DPF消費者保護法の新設

令和3年法律第32号として,取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(以下取引DPF消費者保護法といいます)が新設されました。


なんだか難しい名前で,一般消費者の我々には無関係な法律のようですが,一般消費者の我々を守る法律です。


取引デジタルプラットフォームって何?と思いますよね。

取引デジタルプラットフォームとは,デジタルプラットフォームのうち,オンラインショッピングモールやオークションサイトのように,販売業者等と消費者において売買契約等の申し込みが行われる機能を有するもの,だそうです(法1項)。

「デジタルプラットフォームのうち」と言われても,それ自体の意味がわかりませんよね。


デジタルプラットフォームとは,①情報を表示することによって異なる利用者グループをつなぐ場であること(多面市場),②コンピュータを用いた情報処理によって構築されん,インターネット等を通じて提供されること(オンライン性),③利用者の増加に伴い他の利用者にとっての効用が高まるという関係を利用していること(ネットワーク性),という要素によって定義されます。(令和2年法律第38号)


最大公約数的な話をされてもよくわからないんですが,取引DPF消費者保護法でいうところの取引デジタルプラットフォームとは,例えば,アマゾン,楽天,ヤフー等などがこの取引デジタルプラットフォームに当たります。


メルカリはどうでしょう。

第204回国会 消費者問題に関する特別委員会 第5号によれば,CtoC,すなわち,個人間の取引を提供するモデルは除かれることになっています。売主が個人である場合,買主を保護する立場にないと言うのが理由です。

しかし,近年,メルカリに出品する事業者は増えており,売主が個人ではなく事業者であると判断される場合は,取引DPF消費者保護法の適用があり得ると考えられます。

但し,売主が個人なのか,事業者なのかの判断は,DPF側が判断するようですね。


メルカリは,匿名での授受が可能であることも魅力の一つですから,反復継続して出品したからといって直ちに事業者と判断され,連絡先などの情報を開示されてしまうとなると,売主にとって想定外のトラブルが発生するのでは?プライバシーにも直結しますね。


インターネットの長所は,個人が発信できるところにあると個人的に思っていますが,だからこそ,CtoCの規制は必要であるものの,慎重に進めていく必要があります。

何でもかんでも開示できるとなると,いつどこで自宅突撃されるかわからず,発信が過度に制限される恐れもあります。

青山REAX(旧今西総合)法律事務所

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