化粧品の個人輸入について

たまには法律の記事も書かなきゃと思って!


化粧品の個人輸入について,ネット上で色々と憶測が飛び交っていましたので,実際に試してみました。


海外からの化粧品輸入については,以下の通りの規定があります。

『医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の規定により、厚生労働大臣の製造販売業の許可を受けた者でなければ、業として輸入してはならないと定められています。

 個人が自分で使用するために輸入する場合は、製造販売業の許可を受けていなくても、規程の範囲内であれば輸入することができます。具体的な範囲は以下のとおりです。なお、個人使用として輸入した製品を、他人に売ったり譲ったりすることは認められません。

○化粧品

 標準サイズで一品目24 個以内 』(東京税関HPより)

国から許可を得ていない,知識のない素人が海外から仕入れた薬を売ると,何が起こるかわからない,何か起こっても責任が取れない,となると怖いですからね。こういった制限があるんですね。

また,自己使用だとしても,薬監証明の取得が必要となります。

しかし,自分だけで使用するのが明らかであればいちいち薬監証明なくてもいいよ,ということで,公共の安全と個人の自由の調整を図っています。

じゃぁ,自分だけで使用する場合かどうかは,どうやってわかるの?自己申告だけでいいの?と疑問に思いますね。

海外から購入する場合,送料の問題が出てくるので,できればまとめて買いたい。でも,同じ商品を100個も200個も買うと,いくら「このアイシャドウ超好きでリピしまくってて,1カ月で1個使い切るので大量に買いました!」と自己申告しても,それはもはや個人使用に留まる量なのか?ヤフ〇クやメル〇リで売るつもりでは?と疑ってしまいます。

そこで,化粧品に関しては,標準サイズで一品目24個以内であれば,通常は自己使用の範囲内だろう,それ以上であれば自己使用とは言えず,売るんじゃないの,と一定の数的基準が設けられています。

なお,標準サイズというのは,個人使用だろうと一般的に考えられるサイズです。例えば風呂桶サイズだと厳しいでしょう。


では一品目とは?

「* 例えば口紅の場合、ブランド・色等にかかわらず24個以内」(厚生労働省HPより)

ということなので,口紅であれば,ディ〇ールだろうがシ〇ネルだろうが,赤色だろうが紫色だろうが,口紅というカテゴリであれば,24個まで輸入可能です。

アイシャドウ,ファンデーションも同じ。

24個も!かなり買えそうですよね。


しかし,ここで問題になるのが,パレットになっているコスメです。

口紅やアイシャドウは特に,5色~10色が1パレットになっているものが多くあります。大きいものになると,100色以上が1パレットになっているものも。

この場合,1色を1個とカウントするのか,パレット自体を1個とカウントするのか。

これによって,輸入できる物や数が大幅に変わってきます。前者とすると,24色を超えるパレットはもはや個人輸入ができなくなってしまいます。


調べていると,前者で考えられている,という意見も見受けられます。

しかし,そもそも個数制限を設けたのは,目的が自己使用に留まる輸入か,営業のための輸入か,それを区別するためであるところ,100色パレットの1色1色をバラしてしまうと,もはや商品価値はなくなってしまうし,パレットから取り出した1色なんて誰も買わないだろうから,1色を1個とカウントしてしまうと,個人の自由を過度に制限してしまうことになる。

公共の安全と個人の自由のバランスを考えると,1パレットに収まっているものは1パレット自体が1個とカウントされるはずだ。そうでなければおかしい。


そこで,パレットになっている化粧品(両手で収まらないくらいの,かなり大きいもの)を,仮に1色1個カウントであれば確実にはねられる数,買いました。1回だけ買ったのでは,再現性がありませんから,ちゃんと複数回買いましたよ。

結果,1度もはねられませんでした。


もしかしたら税関に問い合わせたらすんなり教えてくれるかもしれませんけど,自分で実践して確認するって大事なので…おかげで,たぶんあと3回くらい女に生まれ変わっても消費しきれないくらいのコスメの在庫がありますが,あくまで自己使用のために輸入したものなので,ちゃんと自分で使いますよ。


さて,無事に個人輸入できたとしても,関税はまた別の話です。

輸入する物によって関税率は変わってきます。

化粧品は,基本的に関税がかかりません(税関HPより)。

しかし,輸入消費税がかかってくる場合があります。

『課税価格が1万円以下の貨物の場合、原則として、関税、消費税および地方消費税は免除されます。ただし、酒税およびたばこ税・たばこ特別消費税は免除になりません。また、革製のバッグ、パンスト・タイツ、手袋・履物、スキー靴、ニット製衣類等は個人的な使用に供されるギフトとして居住者に贈られたものである場合を除き、課税価格が1万円以下であっても関税等は免除されません。

個人の方がご自身の個人的使用の目的で輸入する貨物の課税価格は、海外小売価格に0.6を掛けた金額となります。その他の貨物の課税価格は、商品の価格に運送費および保険料を足した金額になります。』(関税HPより)


ということで,化粧品を個人輸入する場合,海外小売価格の0.6掛けの金額が1万円以下であれば,輸入消費税もかかりません。

この辺も考慮しながら,送料とも相談しながら,うまく輸入していきたいですね。

REAX法律事務所(旧 青山REAX・今西総合法律事務所)

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