民法債権法の主な改正点
債権法は山ほど改正されるけれど,その中でも,日常生活で関わりの深い変更点は次の3点かと思います。
1 消滅時効 10年→5年
債権は,債権行使ができることを知った時から5年間で消滅することになりました。
契約に基づく履行請求権は,原則として5年で消えることになります。
不意打ちにならないよう,施行日前に債権が生じている場合は,旧法(現時点では現行法)によります。
一般的な消滅時効の期間は短縮されましたが,一方で,生命や身体の侵害による損害委賠償請求権の消滅時効は延長されました。随分と遅れていた人権意識が,ようやく根付いてきたことの表れかと思います。
職業別短期消滅時効の制度は廃止され,分かりやすくなりました。
2 法定利率 5%→3%
市場金利との乖離が調整されました。それでも高利率だと思いますよね,大丈夫です。これからは法定利率が変動し,その時々の経済状況に対応するようになります。見直しは,3年に1回です。
なお,いつの法定利率を採用するか,という点については,利息が生じた最初の時点となります。
3 買主による履行追完請求権・代金減額請求権
今まで,特定物売買の場合,その目的物は世の中に1個しか存在しないから,その目的物の履行がされない・不十分であったとしても,完全な履行を求めることはできませんでした。
特定物とは,代替のきかないもの,です。ハンドメイドや中古,アンティークものに限りませんが,そういったものがイメージしやすいです。
例えば,中古のカバンで気に入ったものがあったので,購入し,後日送ってもらうこととしましたが,その過程でカバンのハンドルがちぎれてしまった。
しかし,そのカバンは世界でたった一つだけのカバンで,それを補修したって,別の似たようなものを用意したって,買ったカバンと同じものではないのです。
とはいえ,実際,補修や別の似たようなものを用意して対応していることがほとんどでしょう。
こういう,特定物の売買でも,履行の追完請求ができるようになりました。
また,目的物に瑕疵があった場合の代金減額請求権も新設されました。
ちなみに,瑕疵という言葉は使われなくなりますが,その精神は受け継がれます。
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