遺言を作ろう!

1 遺言を遺そう!
     私が今住んでいるところは,下町の雰囲気が残っていて,とても住み良い環境です。ご近所の方は大変気さくで,お食事に誘っていただけることもあり,いつもお世話になっています。
 立ち話やお食事の際によくお聞きするのが,ご自身がお亡くなりになった際の,大切なご遺族の生活が心配,ということですね。
 『長年連れ添って生きてこられた奥様や,自分の分身でもあるお子様に,少しでも財産を遺してあげたい』
 その想いを実現する手段の一つとして,遺言があります。
 遺言はご自身で作ることができます。心配でしたら,弁護士等の専門家と相談しながら,作成することもできます。
 さぁ,遺言を作ってみましょう。
 

2 遺言の種類
     遺言には,主に3つの種類があります。それぞれ,作り方や実行方法に違いがあります。どれが一番ご自身にピッタリな遺言か,見てみましょう。
 
(1)自筆証書遺言
   「遺言」というとき,これを指すことが多いかと思います。一番なじみのある形式です。
 文字を書けさえすれば,ご自身だけで作ることができます。紙とインク代しかかかりません。
 ただし,後述の通り,家庭裁判所の検認手続きを受けなければなりません。
 また,偽造や滅失等,死後に後々紛争になることが一番多いのが,自筆証書遺言です。
 
(2)公正証書遺言
   文字通り,公証人に作成してもらう遺言です。そのため,公正証書作成の手数料がかかりますし,作成にあたっては二人以上の証人に立ち会ってもらう必要があり,結構な手間です。
 しかし,病気等で文字が書けない場合でも,遺言を残せるというメリットがあります。
 また,公証人が作成しますので,後から紛争になる可能性は,自筆証書遺言に比べると低いですし,検認手続きも不要です。
 
(3)秘密証書遺言
 遺言内容を,生前に誰にも知られたくない場合は,秘密証書遺言がオススメです。
 自筆証書遺言は自宅かどこかに保管することになるので,見つかって中を見られる可能性がありますし,公正証書遺言は少なくとも公証人と証人に内容を知られます。
 秘密証書遺言の場合,自分で本文を書く必要はなく,パソコンを使用してもいいのですが,署名は必須です。
   作成後,封入・封印をして,証人二人以上を連れて公証人へ提出をします。
 内容について,法的に瑕疵があるか等のチェックはなされていませんので,死後に検認手続きが必要です。
 費用的には,公正証書遺言より低額で済みます。


3 自分で遺言を作ろう!-自筆証書遺言
(1)遺言の内容を考えよう
        当たり前ですけど,遺言の内容を考えないことには,進みません。箇条書きでも結構なので,書きたい内容をメモしていきましょう。
        相続の事柄に限らず,遺言にはだいたいのことが記載できます。例えば,「家族みんな末永く仲良く健康でいてください。決して遺産のことで争わないでください。」という記載も可能です。
        ただし,遺言によってその記載どおりの法的効果が発生する場合と,法的効果の発生しない場合がありますので,そこらへんは弁護士に相談してみてください。ちなみに,前者を遺言事項,後者を付言事項といいます。
 
(2)遺言を書いてみよう
        さぁ,遺言の内容を考えたら,早速書いてみましょう。紙とペンがあればOKです。木片やチラシの裏でも大きな問題はないですけど,あなたの大切な遺言ですから,できれば素直に新しい紙とペンで書いてください。後々の紛争を防止するためでもあります。
        さて,内容を全てご自身で書き終えたら,日付を記載しましょう。西暦でも和暦でも結構です。
        あとは,署名押印をして完成です。実印登録していなくても心配ありません,三文判でも大丈夫です。はんこがなければ,指印でも有効です。
        基本的には,全てあなた自身で書いてくださいね。誰かに書いてもらうと,後々,揉め事が起こるばかりか,遺言自体が無効となってしまいかねません。
また,遺言が自分の死後に多くの人の目に触れるんだという気持ちで書いてください。
 
(3)遺言を保管しよう
        遺言が書けたら,それを紛失しないよう,丁寧に保管をしましょう。ご自宅はもちろん,金庫でもいいですし,第三者である弁護士に預ってもらうという手もありますね。
        遺言はデリケートな問題ですから,あまり相続人らの目に触れないほうが良いと思います。後々,偽造や変造といった紛争が起きかねません。
 

4 自筆証書遺言を発見したら
     立場は変わって,あなたは,自宅の倉庫を整理していたら,なんと,先日亡くなった父の遺言を見つけました。
自筆証書遺言を発見したら,検認手続きを行なわなければなりません。家庭裁判所に検認を申し立てましょう。
検認手続きは,相続開始後の遺言の偽造・変造等から生じる紛争を防止する制度です。
検認手続きがされなかったからといって遺言が無効になるわけではありません。しかし,検認手続きを怠ると,過料に処せられることがあります。
 検認手続きは,遺言の形式面を確認するだけですから,想像以上にあっさりと終わります。

REAX法律事務所(旧 青山REAX・今西総合法律事務所)

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