相続開始後の手続きの流れ

相続開始後の手続きの流れ


1 相続開始

 現在、A介さんは実家を離れ外国に赴任中、A介さんの父と母は二人暮らしをしています。

 平成29年10月10日、母は友人と旅行に出かけ、父は留守番をしていましたが、同月11日に父は脳卒中で倒れてしまいました。

 15日に母が帰宅し、父が倒れているのを発見して救急車で運ばれましたが、死亡が確認されました。母はショックのあまりしばらく何も手につかず、20日にようやくA介さんに連絡をしました。A介さんはその時はじめて父の死亡を知り、21日に帰国しました。

 小さいころに父とサッカーをしたこと、高校生でタバコを吸って怒られたこと、初給料で父と母をレストランに連れて行ったら涙ぐんていたこと…色々な思い出に涙が溢れそうになります。

 しかし、相続開始後の手続きには時間制限があるものが多く、思い出に浸る時間もなさそうです。

 では、相続開始後の手続きの流れを見ていきましょう。

 なお、相続開始日は、被相続人が死亡した日ではなく、自らに相続の開始のあったことを知った日、となります。

 今回のケースでは、父の死亡した11日でもなければ、A介さんが帰国した21日でもなく、A介さんが父の死亡を知った20日となります。


2 死亡届の提出

 死亡から7日以内に市区町村へ死亡届を提出します。死亡診断書を添付しましょう。


3 葬儀等

(1) 通夜・葬儀

 通夜や葬儀にかかった費用は遺産分割に関係してきますから、領収書等を補完しておきます。

(2) 初七日法要・香典返し・四十九日法要

 そろそろ遺産分割に備えて、遺言書の有無、相続財産の調査、相続人の確認などをすすめます。

 また、被相続人が個人事業主であれば、所得税の事業廃止届、死亡届等を税務署に提出します。


4 相続の放棄または限定承認

 財産や債務を相続したくないのであれば相続の放棄を、基本的に相続放棄したいが財産の一部については相続したいという場合は限定承認を、家庭裁判所に申し立て、承認を得ます。

 これらの手続きは、相続開始から3か月以内にしなければなりません。

 何もせずに相続開始から3か月を経過すると、財産や債務をすべて相続します。


5 所得税等の準確定申告

 相続開始の翌日から4か月以内に、被相続人の死亡年の1月1日から死亡日までの所得税を税務署へ申告し納付します。


6 遺産分割

 相続財産や債務を確定し、財産債務の一覧表を作成します。

 財産債務が確定したら、相続財産の評価額を算定します。

 遺言内容などにも留意しながら、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書の作成には、相続人全員の印鑑証明書および実印が必要となりますので、実印登録の用意をしておきましょう。


7 相続税の申告と納付

 相続開始の翌日から10か月以内に、遺産分割の内容に沿って相続税の申告書を作成し、被相続人の住所地の所轄税務署に申告・納付をします。

 やむを得ない事情があれば、申請をすれば、その事情が無くなった日から2か月以内に限り申告期限が延長できます。


8 相続不動産の登記申請・預金等の名義変更

 登記や名義の変更手続きに期限はありませんので、焦らずに手続きを進めましょう。

REAX法律事務所(旧 青山REAX・今西総合法律事務所)

企業法務 不動産 離婚、相続等の家事事件 交通事故(被害者側) 債務整理 その他

0コメント

  • 1000 / 1000