相続分について
1 法定相続分と遺言
民法は、以下の通り相続権の割合を定めています(民法900条)。
・配偶者と直系卑属が相続人の場合
配偶者1/2、直系卑属の合計1/2
・配偶者と直系尊属が相続人の場合
配偶者2/3、直系尊属の合計1/3
・配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
配偶者3/4、兄弟姉妹の合計1/4
これは、あくまで遺言がないなど相続人間で被相続人の財産債務の分割が整わないときのためのものです。
被相続人は、「遺言自由の原則」により、死亡後の財産処分方法を自由に決められますので、遺言があれば遺言に定められた相続権割合が優先します。
2 遺言と遺留分
遺言自由の原則が認められる一方で、相続を期待している一定の相続人の生活を守る必要もあります。
そのため、民法は、配偶者、子、直系尊属については、最低限の財産を取得できる権利を認めています。この権利の割合を遺留分といいます。
裁判所に遺留分の減殺請求を申し立てなければ、侵害された遺留分は回復してもらえません。相続の開始と遺留分侵害の事実を知った時から1年間行使しない場合、もしくは相続開始期から10年経過した場合は、遺留分減殺請求権が時効消滅しますから、注意しましょう。
3 遺言と遺産分割協議
遺言は被相続人の最後の意思であり尊重されるべきものですから、原則として相続人らは、遺言の内容通りの割合で相続財産を取得します。
しかし、相続人全員の合意があれば、遺言内容とは異なる割合で財産債務の分割ができます。
ただし、遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者の同意が必要となります。
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